日本の幼児教育がドイツより優れていると思う理由。

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どうか熱く語らせてください。

 

私も、しがないけれど、幼児教育は人間の人格を形成する上で、とてもとても大切な過程であると信じている、熱いハートを持った教育者の一人なんです・・・!

ドイツの幼児教育について、ドイツのインターナショナルプリスクールで勤務を始めて、2ヶ月目ころからずっと悶々と疑問を感じ続けてきた。

なぜだろう、教育学者フレーベルを輩出したドイツ、この国で幼稚園教諭をする事で幼児教育の新しい視点を学ぶのを、ずっととても楽しみにしていたというのに、学ぶべきものが(ほぼ)ないじゃないか・・・!!

 

なんだろう、何かが全然ダメなのに、先生たちにはそれがどうしても伝わらない・・・。

 

うまく言葉が通じない分、一生懸命、自分の姿を見せる事でポジティブな影響を与えようともがいてきたけれど、

影響を与えるどころか、自分達の方が正しい、と変に誇示させてしまう結果になってしまっている。

 

でも、一年以上経ってやっと答えが出つつあるような気がする。

日本の幼児教育と、ドイツのそれがどうしてそんなに違ってみえるのか。

 

その根本は、この国の教育制度、格差社会、労働問題、ひいては幼児教育者自身の教育レベルにあった、のだ。あら、ビックリ。

 

日本とドイツを比較しながら考えてみる。

 

そもそも、日本では保育・幼児教育を志す若者が多い。

そして、幼稚園教諭となるには基本、短大若しくは大学を卒業して資格を取得する。

子どもが大好きで熱い想いを持って就職するので、低賃金、長時間労働、休日出勤、自宅での宿題・・・

などなどの数々の悪条件の中でも、引く手あまたでどこでも就職し放題、何てことにはならない。(正職員の場合)

 

ではドイツではどういった人がErzieher(-in)と呼ばれるチャイルドケアワーカーになるのか。

基本、大学出となるギムナジウム組(エリート組)では、ない。

詳しいことはわからないけれど、ウチで働いている中で大学卒は、心理学等を学んできた園長のみ。

その他の同僚たちは、子育てを終えて離婚して仕事復帰するためにやる事にしたという移民のひとと

東欧の大学を出て、その卒業資格で上記の幼稚園教諭の資格を申請出来たらしいEU圏内のひと、

恐らく職業訓練コースから来た若いドイツ人のひと、などだ。

もちろんドイツ語はみんな堪能だけど。

 

そして、Praktikant(-in)と呼ばれるインターンシップ生がいつも入れ替わり立ち代り来ているが、

半数は、ドイツ人と結婚して東欧や南米などの国からやって来た移民のひとで、Arbeitsamt(職業安定所)と相談して

子どもが好きだから職業訓練に来ました、という人たち。もちろん資格はない。モチベーションも高くない。

それから、一度就職したのちの、転向組、社会人職業学校からきたひと、とか。

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では日本では、なぜ大変な仕事なのに希望者が存在し続けるのだろう。

それはやっぱり昔、自分たちが小さかった頃の思い出があるからじゃないだろうか。

優しい先生に抱っこしてもらった記憶、友達と遊んで楽しかった記憶、

遠足へ行ったり、お泊り保育をしたり、運動会をしたり、お遊戯をしたり・・・。

皆でたくさんの思い出を作り上げた記憶。つまり、憧れの職業。

自分が子ども達に与える側になりたい、と思って不思議はないんじゃないかと思う。

今でも、子どもの将来の夢上位にランクインしているくらいだ。
もちろん日本にも大人の問題、給与是正問題、隠れ保育士問題など数えきれない課題があるけれど。子ども目線だと、人気の職業であり続けている。

ドイツでは、私のまわりを見ていると徐々に幼稚園でのドイツ人自体の雇用が減っているように感じる。

デュッセルドルフでは外国人の雇用を抑えるため、規制をかけているくらいだ。

(事実、私のビザを申請するのにもとても苦労した。)

実はドイツには移民がとても多い。人口の約20%は移民である。

そのため、低賃金、重労働の仕事は、移民ないし在独外国人に回っていく事になる。

例えば、清掃員や、マクドナルドの店員などでドイツ人を見かけることはとても少ない。

そこではたと気付くのが、そう。

幼児教育は低賃金、重労働・・・、移民系の人々の職と化しつつあるのではないか・・・!!

なんてこった、神聖な職業であるはずの幼児教育が、’労働’にカテゴライズされている。

少なくとも私は日々ひしひしとそう感じている。

そして、移民のチャイルドケアワーカーが増えてきている事の何が問題なのかというと

ただ、移民から受けた幼児教育が良くない、というような差別的なことではなく、

この職業を労働だと捉えてしまうことによって幼児教育の内容がとても薄まってしまうことが問題なのだ。

そして、ひいては子ども達に良い教育を施されないばかりか、将来の憧れの職業でなくなるという悪い連鎖を引き起こすことにもつながっていってしまう。

(聞いた話ではあるが、過去にとても素晴らしい幼稚園生活を送ったが先生はトルコ系移民だったと語っていた友人もいた)

 

因みに、ウチへ来ている教育実習生の一人。

30歳に近く、今までのショップ店員としての仕事をドロップアウトして再就職を目指しているとのこと。

子ども達への話し方は明瞭で分かりやすく、

すぐサボったり携帯いじってたりするものの、とても有望だなと思っていたのだが

その志望の動機を聞いてビックリ。

『ラクだから。』

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そんな中で、教育者魂メラメラの私と、同僚たちの感覚が合致するはずもなく。

たとえば、

子ども達に「ウルサーイ!」とか怒鳴るのであれば仕事中に同僚同士で私語をしない。とか

携帯いじらない。とか

机の上に腰掛けない。とか

子どもと話をするときは目線を合わせて。とか

もうこの辺りまででも分かり合えないと思うのに、

声の強弱を変えるだけで驚くほど子どもが話しを聞く。とか

工作や音楽がニガテな教諭は、自宅で練習するなり学ぶ姿勢を。とか

うるさい時にうるさいと叫ぶのではなく、歌ったりすると意外と静かになるよ。とか

が分かり合えるはずもなく。

きりがないけれども、そういう話が通じるわけもなく、ただ私はそれをイライラと感じていた訳で。

そして、逆に、同僚たちも私のやる事なす事にイライラを感じていたことだろう。

 

ある日、外遊びをさせていたとき、同僚たちがおしゃべりに花を咲かせる中

一人離れてお砂場で遊ぶ子ども達に声掛けをしていたとき、

一度、同僚から聞かれた事がある。

「仕事中、私達とおしゃべりしていないけど、すごく距離を感じる。何か私達に対して思うところがあるのか?」と。

「いや、仕事中はおしゃべりをするとうまく子ども達のことが見られないので。

それに先生たちがばらばらに立っている方が色んな角度から見えるので。」と言ったら

「そんな事は分かっている!!」と、なんだかとても怒らせてしまった。

 

多分きっと、そういうこと。

 

折角、ドイツでは良い教育法が提唱されていて、ベースは整っているというのに、

現場での実践に行き届いていなければ意味がない、と思う。

結局は教育者の質、これに尽きるのだと思う。

 

いつも、モンテッソーリ教育がどうだ、シュタイナーがどうだ、アドラーが云々、という議論は耳にするけれど

いくら幼稚園が美しい言葉を声高に並べていても、結局は先生個人個人にまで浸透されていなくてはいけないのだ。

 

国として、幼児教育に重きを置いているか、どうか。

つまるところ、幼児教育者に重きを置いているか、どうか。

でいうと、完全に日本に軍配が上がっている、と思う。

8対2くらいで。

ただ、日本はやりすぎて幼児教育がサービス業化しすぎているところがある点、そのために先生たちの負担が重くなっている点、それから幼稚園・保育園数、教諭数、給与面などのバランスが整っていないなどの課題もあるし、

あと、ドイツにも素晴らしい幼稚園があるはずだと、信じている点も付け足してみて、2くらい。

 

もちろんドイツとは言え全ての園で同じことが言えるのかは分からない。
田舎の方の公立の幼稚園とか、見てみたいものだけれど。

意外とのんびりしていていいかもしれないなぁ。

 

だから、という理屈にはならないかもしれないけれど、日本の、日本で幼児教育に従事する方、

幼稚園教育要領に則って保育をしている方、そして言ってしまえば日本人みんな、

海外がどうのこうの言うけれど、日本ってなんて素晴らしいんだ!!と胸を張ってほしいと思う。

 

なんと言っても、人間形成に非常に大きな役割を持つ幼児期に

素晴らしい幼児教育を受けてきているのだから。

 

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2+

日本の幼児教育がドイツより優れていると思う理由。」への5件のフィードバック

  1.  ただ今、高知大学大学院で、幼児教育を学び直しているものです。学び直しているというのは、私はこれまで幼稚園教諭をしており、このたび、勤務地を離れて大学院に進学したからです。
     職場にいるときには、日々の保育に追われ、幼児教育の歴史について振り返る時間などは持てず、恥ずかしながら、初めてこれまでの歴史などをたずねているところです。
     このサイトにいきあたったのは、フレーベルのいたドイツではどのような教育が現在なされているのかが気になったからです。しかも、日本の幼児教育についてもっと質を上げるべきだと考えていた私にとって、ドイツの実状を知らせてくださっているこのサイトの内容は衝撃的でした。
     フレーベルゆかりの土地だからといって、質の高い保育がなされているというわけではないのですね。日本でも、倉橋惣三という幼児教育者がありながら、その保育が浸透していないことと同じでしょうか。
     それにしても、幼児教育を新しい視点から学ぶために渡独された熱心さには、心を打たれました。そのような生き方をされる方が幼児教育界にいてくださることを思うと、励まされる思いがいたします。
     日本は、これからが幼児教育界の正念場ではないかと思います。就労する保護者のニーズに合わせた保育施設がどんどん増えるなか、子どもを中心としたものとはいいがたい施設が氾濫しており、今後も増えていくでしょう。
     そこで生活をする子どもたちを思うと、何かできることはないのかと焦るばかりです。また、そこで就労する保育者は保育の喜びを知らないままに日々の‘仕事‘に向かわなければなりません。幼児教育のすばらしさ、温かさ、尊さに気付かないことは、不幸以外の何者でもありません。
     幸いなことに、私の勤める幼稚園は、子ども主体を園目標とした恵まれた園です。保育の質の低下は否めませんが、質を上げることに専念できる土台はあります。私は大学院に来るまでは、自分の勤務園について文句ばかりを言っていましたが、現代の幼児教育を学び直し、このようなサイトの記事を読むにつけ、できることがたくさんあるではないか、と、自分自身を恥ずかしく思うようになりました。
     幼児を幼児さながらに育む、この喜びと尊さを、少なくとも私自身は忘れないように、そしていつか、幼児教育が日本の教育の光となるように、努めていきたいと思います。
     あなた様の幼児と幼児教育への温かく熱い思いが、ドイツの方々にも伝わりますように。心から祈っております。本当にありがとうございました。

    1+
    1. 都築様
      コメント頂きどうも有難うございます!(しかもサイトが不具合で非常に見えづらい時に・・・)
      一人でも、想いを感じてくださる方にお読み頂いたことに感激しています。
      仰る通りで、理念や方針がいくら立派であっても、結局は子ども達と関わる現場の大人ひとりひとりの教育、保育が一番重要なのだと痛感しました。
      焦る気持ち、逸る気持ちはあるけれど、より良い幼児教育が世界を変える!世界を救う!と信じて私自身も夢を拡げていきたいと思っています。
      良ければメールでも結構ですのでいつでもご連絡くださいね。

      1+
  2. はじめまして。私もドイツの幼稚園で働いてみたいと思う一人です。というのも、日本の教育は残念ながら子どもの主体性や自尊心を育む教育にはまだまだだと働いていて感じるからです。しかしこちらの記事を拝見し、現状を知ることができました。以前、デュッセルドルフで子どもが一日中目的を持って遊べる幼稚園があると聞きました。そこの名前が思い出せないのですが…ドイツの教育…質の高い幼稚園もまだまだ少なくないと願いたいです…。

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    1. yuriaさん
      はじめまして、同じ気持ちを持った方に読んで頂けてとても嬉しいです(^^)
      私の夢は、それこそyuriaさんのおっしゃるような、日本でももっと主体性や自尊心を育む園を設立することです。
      どこの国だからいい、悪い、というのはきっとなくて、きちんと園の趣旨があり、
      そしてそれに沿って努力を続けていけるかなんだと勉強になりました。
      デュッセルドルフの園、気になります!もし思いだされたら是非シェアしてくださいね。

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  3. お返事ありがとうございます。
    園の趣旨がきちんとあってそれにそって努力を続けていく…私も同じ思いです。
    園を立ち上げられる目標、とても素敵です。ぜひ上手くいきますこと、願っております。
    私も子ども主体の教育の良さや大切さをお母様達に知ってもらえるよう、また日本の幼児教育の質が高まっていくよう、コツコツと努力していきたいと思います。

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